R-TYPE II

R-TYPE II

『R-TYPE II』（アール・タイプ ツー）は、1989年にゲームメーカーのアイレムからアーケード向けにリリースされた、横スクロール形式のシューティングゲームです。1987年に登場し、その革新性で大きな反響を呼んだ『R-TYPE』の正統な続編にあたります。

概要

本作は、前作から続くバイド帝国との苛烈な戦いを描いています。プレイヤーが搭乗するのは、前作の主人公機であるR-9を基に開発された改良・強化型機、R-9改（R-9C、R-9カスタムとも称されます）。R-TYPEシリーズの象徴である波動砲は、従来の直線的なタイプに加え、特殊な触媒を用いて広範囲の対象に強力なダメージを与えることができる「拡散波動砲」が新たに装備されました。さらに、レーザー兵装にはサーチレーザーとショットガンレーザーが追加され全5種類に、ミサイルには対地ミサイルが加わるなど、武装のバリエーションも増加しています。

ゲームの難易度は前作と比較して大幅に高まっています。総ステージ数は減少したものの、各ステージに出現する敵キャラクターの数が増え、その行動パターンはより多彩に、耐久力や攻撃頻度も強化されています。また、ステージを構成する地形ギミックも、プレイヤーを翻弄するような巧妙でトリッキーな仕掛けが増えました。ミスをした際には、前作同様にステージ内に設けられた復活ポイントからの再スタートとなります。

なお、初代『R-TYPE』の移植版としてハドソンがPCエンジン向けに発売したバージョンは、当時利用可能なROMカードの容量制限から、ゲームを前後半に分割してリリースされました。前半が『R-TYPE』というタイトル、後半が『R-TYPE II』というタイトルで販売されたため、本アーケード版の『R-TYPE II』とは異なるゲーム内容であることに注意が必要です。

ゲームシステム

基本的なゲームシステムや操作方法は前作から大きな変更はありません。8方向レバーで自機を移動させ、ショットボタンでメインショットや波動砲を発射、フォースボタンで特殊装備であるフォースの着脱を行います。

波動砲は、ショットボタンを長押ししてゲージを溜めることで威力が変動します。青いBEAMゲージが満タンになった状態でボタンを離すと、ゲージの長さに応じた威力の波動砲が発射されます。本作で追加された拡散波動砲は、青ゲージがフルになった後もさらにショットボタンをホールドし続けることで発射可能です。一定時間経過すると赤いゲージが急速に蓄積され始め、これが満タンになりゲージが点滅している間にボタンを離すと、より強力な拡散波動砲が放たれます。

通常の波動砲が一直線に進むのに対し、拡散波動砲は発射後に一度小拡散し、収束してから再び前方に広がるように展開します。収束点を狙った対象に正確に当てられれば高い威力を発揮しますが、ゲージ点滅後もボタンを押しすぎると再び通常の波動砲に戻ってしまうため、意図したタイミングで最大限のダメージを与えるには精密な操作が求められます。

アイテム

ステージ中に出現する、球体に脚が生えたような姿をした特殊な敵機「POWアーマー」を破壊すると、自機を強化するための様々なアイテムが出現します。POWアーマーには青基調のものと赤基調のものがあり、それぞれ出現場所に応じて異なる種類のアイテムを所持しています。

レーザークリスタル

青基調のPOWアーマーから出現します。これを取得することで、特殊装備「フォース」を装備・強化できます。1つ目のクリスタルでフォースを装着し、2つ目以降はクリスタルの色に応じた特定の特殊兵装（レーザー）がフォースに装備され、その性能が段階的に向上します。3つ目のクリスタルを取得すると、兵装とフォースがさらにパワーアップします。

搭載できるレーザーは以下の5種類で、一度に1種類のみ装備可能です。既に装備しているレーザーとは異なる色のクリスタルを取得すると、新しいレーザーに切り替わります。

赤 - 対空レーザー: フォース前方に貫通性能を持つレーザーを発射。強化段階で形状や軌道が変化します。
黄 - 対地レーザー: フォースの上下から、地形に沿って進むレーザーを発射します。
青 - 反射レーザー: フォース前方と上下斜め方向の3方向へ、地形に当たると反射するレーザーを発射します。
緑 - サーチレーザー: フォース前方から2本のレーザーが「＝」状に発射され、敵の縦方向（Y座標）を追尾します。進行速度が遅く連射も効きませんが、反射レーザーのエネルギーを転用したという設定があります。
灰 - ショットガンレーザー: フォース前方へ丸いカプセル状の弾を発射。弾自体の威力は高いものの射程が短く、一定距離で破裂しますが、その爆風にも攻撃力があります。対空レーザーのエネルギーを転用したという設定です。

ミサイル

「M」と書かれたアイテムで、赤基調のPOWアーマーなどから出現します。以下の2種類があり、一度に1種類のみ装備可能です。異なるミサイルユニットを取得すると切り替わります。

赤 - 追尾ミサイル: 2発同時に前方へ発射され、敵を自動的に追尾します。
青 - 対地ミサイル: 前方斜め下へ発射され、敵機や地形に着弾すると爆発します。爆風は地形に沿って広がります。対地レーザーのエネルギーを転用した設定があります。

その他アイテム

ビット: 自機の上または下に装備される、敵の攻撃を受け付けない護衛機。対空レーザーを装備している場合にのみ、1段階目のレーザーを発射して攻撃に参加します。最大2個まで装備可能ですが、敵の弾を防ぐ効果はありません。スピードアップアイテムを3つ以上取って自機の移動速度が速くなると、ビットの追従が遅れることがあります。
* スピード: 「S」と書かれたアイテム。取得するたびに自機の移動速度が上昇します。最高4段階まで加速可能で、一度上げた速度はミスをするまで維持されます。

ステージ構成

ゲーム全体を通して、荒廃した、あるいは退廃的な雰囲気が色濃いステージが多く登場します。全6ステージで構成されています。最初の6ステージをクリアするとエンディングが流れた後、さらに難易度が上昇した2周目が開始されます。2周目は1周目と合わせて全12ステージをクリアすることになり、この2周目をクリアすることで真のエンディングを迎えることができます。

移植版

スーパーファミコン版

『SUPER R-TYPE』（スーパー・アール・タイプ）というタイトルで、1991年にスーパーファミコン向けに発売されました。アーケード版の『R-TYPE II』をベースにしていますが、当時のハードウェア容量や性能の制約から、多岐にわたる大胆なアレンジが施されています。多くのSFC初期タイトルに見られたように、タイトルには「スーパー」が冠されています。かつてWiiのバーチャルコンソールとしても配信されていました。

本作の最大の特徴ともいえるのは、アーケード版から大きく変更されたゲームバランスとステージ構成です。処理落ちが頻繁に発生するという技術的な難点があった一方で、1ミスが即座に致命傷につながる「硬派」と評される高い難易度は健在でした（ただし、アーケード版よりは幾分か抑えられています）。

アーケード版からの主な変更点として、レーザー兵装ではサーチレーザーが削除され、半円状に弾を展開してから前方に放つスプリットレーザーが追加されました。ショットガンレーザーも拡散パターンが異なります。これらの変更に伴い、プレイヤー機はR-9改の派生機であるR-9Kとして独自の設定が与えられています。ゲーム開始時のデモシーンも、アーケード版のような後方視点の発進シーンではなく、ゲーム中の自機を用いた横視点での出撃準備から発進へ変わりました。

ゲームシステム面では、アーケード版にあった復活ポイントが廃止され、ミスをするとボスの直前であっても必ずステージの最初からやり直しとなる非常に厳しい仕様になっています。また、ボス戦の前やステージクリア時には、R-9改が画面右へ高速で退場し、専用の画面に切り替わる演出が追加されました。音楽も多くの曲が本作独自のもので、全体的にハウス・ミュージック風のサウンドが特徴です。

難易度はKIDS、EASY、NORMAL、HARDの4段階から選択可能で（初期設定はEASY）、2周目は1周目の難易度から1段階上昇します（HARDの2周目のみPROという最高難易度が登場）。KIDSではミスをしても装備を失わない利点がありますが、KIDSでクリアした場合は「これは訓練である」というメッセージが表示されてゲームが終了し、エンディングが見られず1周で終わってしまいます。エンディングを見るにはEASY以上の難易度でクリアする必要があります。エンディングデモは、地球近くの宇宙要塞に帰還し、プレイヤー機が格納庫に収納されるという、比較的ハッピーエンドの色が強い内容となっています。

ステージ構成は、全7ステージのうち半分ほどがSFC版オリジナルで、アーケード版と共通するステージも大きくアレンジされています。例えば、ステージ1「宇宙空間」、ステージ3「洞窟」、ステージ4「巨大戦艦」などは、アーケード版の要素を取り入れつつも全く異なるゲームプレイが展開されます。

ゲームボーイ版

1992年にゲームボーイ用ソフトとして発売されました。携帯機のモノクロ画面である点や、ハードのスペック制限から、オリジナルのアーケード版とは大きく異なる内容となっています。全5ステージ構成です。拡散波動砲の仕様も異なり、地形や画面の上下端で反射するような独特の挙動をします。設定面では、スーパーファミコン版のデモシーンにパイロットや整備員が追加されるといった変更があり、一部のボスの名前も異なります。説明書にパイロットが四肢を切断されて搭載されるという衝撃的な記述があったことでも知られます（ただし、関連するアイレム会報誌には脳のみという記述はないようです）。

PlayStation版

『R・TYPES』という商品名で、1998年2月5日にPlayStation向けに発売されました。本作は初代『R-TYPE』とセットで収録されたカップリング移植タイトルです。アーケード版『R-TYPE II』としては初めて、忠実な移植を実現したバージョンとされています。かつてはゲームアーカイブスとして、PSPやPS3向けにもダウンロード配信されていました。

アーケード版の再現に加え、オープニングやエンディングのムービーが追加されたほか、R戦闘機や敵キャラクターの設定資料を閲覧できる「R'sライブラリー」、『R-TYPE Δ』のプロモーションムービーなども収録されており、ファンサービスも充実していました。2001年には廉価版である『〜R’s BEST〜R・TYPES』も発売されています。

評価

アーケード版は、ゲーム雑誌『ゲーメスト』の「第4回ゲーメスト大賞」（1990年度）において、その美しいグラフィックが高く評価されベストグラフィック賞の1位に輝きました。また、プレイヤー人気でも17位を獲得しています。

スーパーファミコン版は、『ファミコン通信』のクロスレビューで40点満点中28点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票集計「ゲーム通信簿」では30点満点中22.1点を得ています。ゲームボーイ版は、『ファミコン通信』のクロスレビューで40点中20点、『ファミリーコンピュータMagazine』読者投票「ゲーム通信簿」で30点中20.2点という評価でした。

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